ソフトウェア

当研究室メンバーが開発したソフトウェアを公開しています。

分子設計ツール: YU canvas(β版)

有機ELなどに使われる有機材料は、複数の原子が結合した分子の集まりです。化学者は新しい分子を設計することで新しい材料を生み出しますが、絵に描いた分子の構造からその性質を知ることは容易ではありません。当研究室は、分子の構造と性質の関係性を学習した人工知能(AI)と分子描画ツールを統合することにより、ユーザーが分子の絵を描くと同時にAIがその性質を予測・表示する分子設計ツール「YU canvas」を開発しました。これにより、ヒトとAIの共同作業が可能となり、経験の浅い研究者や学生でも、効率的に新しい分子を設計したり、分子の性質について学ぶことが出来ます。本ツールの試用版は無償で公開され、世界中の誰でもインターネットブラウザから簡単に利用することが出来ます。(2020.4.8公開開始)

移動積分計算プログラム: tcal

有機半導体は薄くて軽くて柔軟な電子デバイスを印刷プロセスにより低コストに作製できるなどの利点からウェアラブルデバイスやフレキシブルディスプレイへの応用が注目されています。有機半導体の性能を評価する指標として電子の流れやすさを表す移動度や移動積分があります。私たちが開発した移動積分計算プログラム「tcal」では、密度汎関数理論に基づいて通常の分子間移動積分を算出できる他、それを各原子の寄与毎に分けて解析した原子間移動積分を算出することができます。これにより、分子のどの部位が電気伝導に寄与しているかを詳細に調べることができます。tcalはPythonで作成され、誰でも無償で利用可能です(MITライセンス)。ただし、量子化学計算プログラムGaussian 16または09(有償)が別途必要です。

液滴の濡れ広がりシミュレータ: HyDro

松井が産総研在籍時に開発した、液滴の濡れ現象をシミュレーションするためのソフトウェアです。親水領域と撥水領域をもつ固体表面上に濡れ広がる液滴の形状を、独自開発のHybrid Energy Minimization(HEM)法によって高速かつ高精度に計算します。